カテゴリ: C++ 更新日: 2025/12/12

クロスコンパイル環境の準備を完全ガイド!初心者でもできるC++クロス開発入門

クロスコンパイル環境の準備
クロスコンパイル環境の準備

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「クロスコンパイルってよく聞くんですが、そもそもどういうものなんですか?」

先生

「クロスコンパイルとは、あるパソコンでコンパイルしたプログラムを、別の種類の機械で動かせるようにする仕組みのことです。」

生徒

「別の種類の機械って、例えばどんなものですか?」

先生

「たとえば、Windowsパソコンで作ったプログラムを、ラズベリーパイや組み込み機器で動かしたいときに使います。では今日は、初心者でもできるクロスコンパイル環境の準備を解説します。」

1. クロスコンパイルとは?初心者向けにやさしく解説

1. クロスコンパイルとは?初心者向けにやさしく解説
1. クロスコンパイルとは?初心者向けにやさしく解説

クロスコンパイルとは、「今使っているパソコンとは違う環境で動くプログラムを作る」ためのコンパイル方法です。コンパイルは、人間が書いたC++のソースコードを、機械が実行できる形(実行ファイル)に変換する作業のこと。通常は、WindowsならWindows用、LinuxならLinux用に作りますが、クロスコンパイルでは別のCPUやOS向けに変換します。たとえばPC(x86)で作ったプログラムを、ラズベリーパイ(ARM)で動かす、といったケースです。

例えるなら、「家のキッチンで料理を作って、別の家の友達のキッチンでも使えるように梱包して届ける」イメージです。友達の家のコンロや器具が違っても困らないように、事前に専用のセット(ツールチェーン)を用意します。

初心者向け:普通のコンパイルと何が違う?

ポイントは「作る場所(開発PC)」と「動かす場所(ターゲット機器)」が違うことです。クロスコンパイルでは、開発PC上でターゲット向けの実行ファイルを作ります。そのため、見た目は同じC++コードでも、出力される実行ファイルの中身は別物になります。

超かんたんサンプル:コードは同じでも、作る実行ファイルが変わる

下のC++は、ただ文字を表示するだけの最小例です。クロスコンパイルでは、このコード自体は変えずに「どの環境向けに変換するか」をコンパイラ側で切り替えます。


#include <iostream>

int main() {
    std::cout << "Hello from cross compile!" << std::endl;
    return 0;
}

ここで大事なのは、「C++の書き方」を難しくすることではなく、ターゲット(ARMなど)向けのコンパイラでビルドする点です。だからこそ、組み込み開発、IoTデバイス開発、ラズベリーパイ開発などでクロスコンパイルがよく使われます。

クロスコンパイルの仕組みを知っておくと、「なぜ動かないのか」「どの実行ファイルを作っているのか」が整理しやすくなり、C++学習の幅が一気に広がります。

2. クロスコンパイルに必要なツールチェーンとは?

2. クロスコンパイルに必要なツールチェーンとは?
2. クロスコンパイルに必要なツールチェーンとは?

クロスコンパイルを行うためには、ツールチェーンと呼ばれる道具のセットが必要になります。ツールチェーンは、コンパイラ(変換する道具)だけでなく、リンカ(部品をつなげる道具)やライブラリ(便利機能のまとまり)などをまとめたものです。イメージとしては「別の国で使うための変換セット付き工具箱」のようなもので、ターゲット機器(例:ARM)の規格に合わせて一式がそろっています。

たとえば ARM 用のクロスコンパイラ(arm-linux-gnueabihf-g++ など)は、ラズベリーパイや組み込みボード向けの実行ファイルを作成できます。ツールチェーンを入れるだけで、普段の g++ と同じようにC++を書き、コンパイラ名を切り替えるだけで別の環境向けにビルドできるようになります。

初心者向け:ツールチェーンに入っているもの(ざっくり)
  • クロスコンパイラ:C++をターゲット向けの実行ファイルに変換します。
  • リンカ:複数の部品(ファイルやライブラリ)をまとめて1つにします。
  • ライブラリ:ターゲット環境で動くための土台(標準ライブラリなど)を用意します。
超かんたんサンプル:コンパイラ名を変えるだけのイメージ

同じC++コードでも、使うコンパイラが違うと「できあがる実行ファイルの行き先」が変わります。下は、ARM向けツールチェーンでビルドするときの例です(コマンドの形だけ押さえればOKです)。


arm-linux-gnueabihf-g++ sample.cpp -o sample_arm

sample.cpp はいつものC++ファイル、sample_arm はARM向けに作られた実行ファイルです。だから、開発用PCでは動かない場合があり、「ターゲット機器で実行するために作っている」と覚えておくと混乱しにくいです。

3. Linux(WSL/Ubuntu)でクロスコンパイル環境を準備する手順

3. Linux(WSL/Ubuntu)でクロスコンパイル環境を準備する手順
3. Linux(WSL/Ubuntu)でクロスコンパイル環境を準備する手順

ここでは、多くの初心者が使いやすいWSL(Windows Subsystem for Linux)やUbuntu環境を前提にクロスコンパイル環境を構築する方法を紹介します。

◆ ステップ1:Ubuntuの更新

まずはLinux環境を最新にします。これを行うことでツールの不具合を避けやすくなります。


sudo apt update
sudo apt upgrade -y

◆ ステップ2:ARM用クロスコンパイラをインストール

ラズベリーパイなどARM向けのC++プログラムを作りたい場合には次のツールを使います。


sudo apt install g++-arm-linux-gnueabihf -y

インストールできたら、バージョンを確認してみましょう。


arm-linux-gnueabihf-g++ --version

4. クロスコンパイルの基本的なやり方

4. クロスコンパイルの基本的なやり方
4. クロスコンパイルの基本的なやり方

環境が整ったら、実際にC++プログラムをクロスコンパイルしてみましょう。

まずは簡単なC++ファイルを作成します。


nano sample.cpp

ファイルが開いたら次のコードを書いて保存します。


#include <iostream>

int main() {
    std::cout << "Cross Compile Test" << std::endl;
    return 0;
}

次に、ARM向けにコンパイルします。


arm-linux-gnueabihf-g++ sample.cpp -o sample_arm

生成された sample_arm は、ラズベリーパイなどARM環境で実行できるプログラムになります。

5. クロスコンパイルでよくある疑問とポイント

5. クロスコンパイルでよくある疑問とポイント
5. クロスコンパイルでよくある疑問とポイント

初心者の多くがつまずくポイントは「なぜ自分のパソコンでは実行できないのか?」という点です。これは、自分のパソコン(Windowsやx86 CPU)とARMデバイスでは、CPUの種類が大きく違うためです。別の機械向けに作ったプログラムは、その機械でしか動かないのです。

また、クロスコンパイラで作成したプログラムを実行するには、ファイルをSDカードやネットワークで転送する必要があります。この作業も初心者には最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れると簡単な作業になります。

クロスコンパイルは、組み込み開発、IoTデバイスプログラミング、Linux学習などを本格的に進めたい人にとってとても重要なスキルです。環境構築の段階でしっかり理解しておくと、後の学習が非常にスムーズになります。

まとめ

まとめ
まとめ

クロスコンパイルは、C++を学ぶうえで実践的かつ応用範囲の広い技術であり、組み込み開発やIoTデバイス開発を行う際には欠かせない重要な知識です。記事全体を振り返ると、クロスコンパイルとは「自分のパソコンとは異なる環境で実行できるプログラムを作る仕組み」であり、そのためにはツールチェーンと呼ばれる専用の道具セットが必要になることを理解できました。 特に、ARM向けのクロスコンパイルはラズベリーパイなどの小型デバイス開発に広く利用されており、WSLやUbuntu環境から手軽にツールチェーンを導入できる点も魅力です。クロスコンパイルの学習を進めることで、C++の深い仕組みやCPUアーキテクチャの違いを理解するきっかけになり、将来の開発において大きな力となります。 また、初心者がつまずきやすい「なぜ自分のパソコンでは実行できないのか」という疑問についても、CPUの種類やOSが異なるため実行形式が変わるという仕組みを知ることで納得しながら学習を進められます。クロスコンパイルを使うことで、いま使っているPCだけではなく、幅広いプラットフォームを対象に開発できるという大きな利点が生まれるため、C++の可能性をさらに広げてくれる学びとなります。 ここからは、記事で扱った内容をより深く理解できるように、簡単なクロスコンパイル用のサンプルコードを紹介します。プログラムの動作を確認しながら、クロスコンパイルの流れを具体的にイメージしていきましょう。

クロスコンパイルで試せるC++サンプルプログラム

以下は、ARM向けのクロスコンパイルで試せる基本的なC++プログラムです。標準的な入出力処理を含み、クロスコンパイルの動作確認に最適な構成となっています。


#include <iostream>
#include <vector>
using namespace std;

int main() {
    vector<int> nums = {1, 2, 3, 4, 5};
    int sum = 0;

    cout << "クロスコンパイル計算テスト" << endl;

    for (int n : nums) {
        sum += n;
    }

    cout << "合計値:" << sum << endl;

    if (sum > 10) {
        cout << "合計は10を超えています。" << endl;
    } else {
        cout << "合計は10以下です。" << endl;
    }

    return 0;
}

このプログラムをファイルとして保存したら、次のコマンドを使ってARM向けにコンパイルできます。


arm-linux-gnueabihf-g++ sample.cpp -o sample_arm

生成されたsample_armをラズベリーパイに転送すれば、そのまま実行可能です。クロスコンパイルを使うことで、PCとは異なる環境でも同じC++プログラムを動かせるようになり、開発の幅が大きく広がります。

先生と生徒の振り返り会話

生徒

「先生、クロスコンパイルって難しそうに感じましたが、仕組みが分かると意外とシンプルなんですね。ツールチェーンを使えば別の環境向けのプログラムが作れるなんておもしろいです!」

先生

「そうなんだ。特にARM向けのクロスコンパイルはIoTや組み込み機器の開発では欠かせない技術だから、早いうちに慣れておくととても役に立つよ。」

生徒

「自分のPCで作ったプログラムがラズベリーパイで動くなんてワクワクしますね!実際にやってみたくなりました。」

先生

「実際に動かしてみると理解が一気に深まるよ。クロスコンパイルは慣れるほど簡単に感じるから、まずは小さなプログラムから挑戦してみよう。」

生徒

「次はクラスや複数ファイルのクロスコンパイルにも挑戦してみたいです!」

先生

「いいね。経験を積むほどできることが増えるから、焦らずじっくりと進めていこう。」

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