カテゴリ: Rust 更新日: 2026/01/19

Rustのセミコロンが重要な理由とは?文と式の違いから注意点まで解説

Rustでセミコロンが重要な理由とは?文と式の違いから注意点まで解説
Rustでセミコロンが重要な理由とは?文と式の違いから注意点まで解説

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「Rustを勉強し始めたのですが、セミコロンをつける場所とつけない場所があって混乱しています。なぜセミコロンがそんなに重要なんですか?」

先生

「それは非常に鋭い視点ですね。Rustにおいてセミコロンの有無は、単なる区切り記号ではなく、そのコードが『値を返すかどうか』を決める決定的な役割を持っているからです。」

生徒

「値を返すかどうかが変わるんですか?具体的にどう使い分ければいいんでしょうか?」

先生

「キーワードは『文(Statement)』と『式(Expression)』の違いです。これらを理解すると、Rust特有の簡潔なコードが書けるようになりますよ。詳しく解説していきましょう!」

1. Rustプログラミングにおけるセミコロンの基本的な役割

1. Rustプログラミングにおけるセミコロンの基本的な役割
1. Rustプログラミングにおけるセミコロンの基本的な役割

Rustというプログラミング言語に触れる際、まず目に飛び込んでくるのが行末の「セミコロン(;)」です。C言語やJava、C++などの言語を経験したことがある方なら、文の終わりには必ずセミコロンが必要だというルールに慣れているかもしれません。しかし、Rustにおけるセミコロンは、他の言語よりも遥かに重要な意味を持っています。

Rustでは、コードの最小単位を「文」として終わらせるのか、それとも「式」として値を評価させるのかを、セミコロンひとつでコントロールします。この厳密な区別こそが、Rustの型安全性を支え、関数や制御フローからの柔軟な戻り値を実現しているのです。初心者のうちは、セミコロンを忘れてコンパイルエラーになることが多々ありますが、その背景にある設計思想を理解すれば、Rustのコードが非常に論理的に構成されていることが分かるようになります。

2. 知っておくべき「文」と「式」の決定的な違い

2. 知っておくべき「文」と「式」の決定的な違い
2. 知っておくべき「文」と「式」の決定的な違い

Rustの構文を理解する上で最も重要な概念が「文(Statement)」と「式(Expression)」の対比です。これを混同してしまうと、Rustのコンパイラが出すエラーメッセージの意味が理解できなくなってしまいます。

まず「文」とは、何らかの動作を行い、値を返さない命令のことです。Rustの文には主に、変数宣言を行う「宣言文(Declaration Statement)」と、式にセミコロンを付けて値を破棄する「式文(Expression Statement)」の二種類があります。文を実行した結果は、数学的な意味での値を持たず、Rustの内部的には「ユニット型 ()」という空の状態になります。

一方で「式」とは、何らかの計算を行い、その結果として「値」を生成するものです。例えば、数字の「5」は5という値を返す式ですし、「5 + 5」も10という値を返す式です。Rustの特徴は、if文やスコープ(波括弧で囲まれたブロック)までもが「式」として扱える点にあります。式はセミコロンを付けないことで、その値を外側に伝えることができます。

3. 関数における戻り値とセミコロンの関係

3. 関数における戻り値とセミコロンの関係
3. 関数における戻り値とセミコロンの関係

Rustの関数では、最後に評価された式の値が関数の戻り値になります。ここでセミコロンの有無が劇的な変化をもたらします。多くの言語では「return」キーワードを明示的に使いますが、Rustでは関数の最後の行にセミコロンを付けないことで、それを戻り値として扱うのが一般的です。

以下のコード例を見て、セミコロンがないことでどのように値が返されるかを確認してみましょう。


fn add_numbers(x: i32, y: i32) -> i32 {
    x + y // ここにセミコロンがないので、合計値が戻り値として返される
}

fn main() {
    let sum = add_numbers(10, 20);
    println!("合計は {} です", sum);
}

もし、上記の「x + y」の末尾にセミコロンを付けてしまうと、それは「値を返さない文」に変わってしまいます。すると、関数はi32型の値を期待しているのに、実際には何も返さない(ユニット型を返す)ことになり、コンパイルエラーが発生します。このように、Rustにとってセミコロンは「計算結果をそこで捨てるのか、それとも次に繋げるのか」を示す重要なスイッチなのです。

4. 条件分岐 if を式として利用するテクニック

4. 条件分岐 if を式として利用するテクニック
4. 条件分岐 if を式として利用するテクニック

Rustのif文は、正確には「if式」です。つまり、条件分岐の結果として値を返すことができます。これを利用すると、他の言語の三項演算子のような記述が、より読みやすい形で実現できます。ここでもセミコロンの使い方が成否を分けます。


fn main() {
    let condition = true;
    
    // ifブロック全体が式となり、結果を変数に代入できる
    let number = if condition {
        5 // セミコロンなし:5を返す
    } else {
        10 // セミコロンなし:10を返す
    };

    println!("選択された数値は {} です", number);
}

このコードにおいて、ifの各ブロック内にある数値にセミコロンを付けてしまうと、変数の代入に失敗します。Rustでは、変数への代入を行う際に「どのような値が入るか」を厳密にチェックするため、ブロックが値を返しているかどうかが非常に重要なのです。このように、制御構造を式として扱う設計は、コードの冗長さを減らし、意図を明確にする効果があります。

5. ブロック式とスコープによる値の生成

5. ブロック式とスコープによる値の生成
5. ブロック式とスコープによる値の生成

Rustでは波括弧「{ }」で囲まれた範囲をブロックと呼びますが、このブロック自体も「式」として機能します。ブロック内で計算を行い、その最終結果を外側の変数に受け渡すことができるのです。これは、複雑な初期化処理を変数にまとめたい時に非常に便利です。


fn main() {
    let result = {
        let a = 10;
        let b = 20;
        let c = 30;
        a + b + c // 最後の式にセミコロンがないため、この合計がresultに代入される
    };

    println!("計算結果は {} です", result);
}

上記の例では、変数a, b, cはブロック内だけのスコープを持ち、ブロックが終わると破棄されます。しかし、最後の「a + b + c」の結果だけは、セミコロンがないことによってブロックの外へと「脱出」し、変数resultに格納されます。もし、ここで全ての行にセミコロンを付けてしまうと、resultには空の値(ユニット型)が入ろうとして、型不一致のエラーになります。Rustは、このようにメモリの有効範囲(スコープ)と値の受け渡しを非常に厳格に管理しています。

6. セミコロンを忘れた時に発生するコンパイルエラーの読み方

6. セミコロンを忘れた時に発生するコンパイルエラーの読み方
6. セミコロンを忘れた時に発生するコンパイルエラーの読み方

初心者の方が最も直面しやすいのが「期待した型と違う」というエラーです。例えば、戻り値を期待している関数でセミコロンを付けてしまった場合、Rustのコンパイラは「mismatched types(型が一致しません)」という警告を出します。コンパイラは非常に親切で、「この行にセミコロンがあるため、値を返していません。セミコロンを削除してみてはどうですか?」といった具体的なアドバイスをくれることが多いです。


error[E0308]: mismatched types
 --> src/main.rs:2:5
  |
1 | fn get_val() -> i32 {
  |                 --- expected `i32` because of return type
2 |     100;
  |        ^ expected `i32`, found `()`
  |
help: remove this semicolon
  |
2 -     100;
2 +     100
  | 

このエラーメッセージを見ると、期待されている型は「i32」なのに、見つかったのは「()(ユニット型)」であることがわかります。Rustにおいてユニット型は「何も情報がない」ことを示す特別な型です。セミコロンを付ける行為は、その式の値を「捨てて、何も返さない状態にする」ことと同義なのです。エラーが出たときは、まず「自分は今、値を返したいのか、それとも処理を完結させたいのか」を自問自答してみましょう。

7. セミコロンが必要な場面と不要な場面の整理

7. セミコロンが必要な場面と不要な場面の整理
7. セミコロンが必要な場面と不要な場面の整理

ここで、セミコロンの使い方を整理してみましょう。まず、値を返さない通常の処理行、例えば変数の宣言「let x = 5;」や、関数の呼び出し「println!(...);」には必ずセミコロンが必要です。これらは「文」として扱われ、コンピュータに対して具体的なアクションを指示します。

逆にセミコロンが不要(あるいは付けてはいけない)なのは、関数やブロックの最後で値を返したい場合です。Rustでは「明示的なreturn文」も使えますが、関数の最後に式を置くスタイルが推奨されています。また、構造体の定義や列挙型の定義などの宣言も、セミコロンの有無に関する独自のルールがありますが、基本的にはプログラムの流れを作る「実行部分」において、セミコロンは「値の流れを止める壁」のような役割を果たすと覚えておくと理解がスムーズです。

8. 式を文に変える「式文」の役割を深く知る

8. 式を文に変える「式文」の役割を深く知る
8. 式を文に変える「式文」の役割を深く知る

Rustでは、ほとんどのものが式であると述べましたが、その式にセミコロンを付けることで「式文(Expression Statement)」に変換されます。なぜわざわざ式を文に変える必要があるのでしょうか。それは、副作用(画面への出力やデータの書き換えなど)だけを目的とし、計算された値自体には興味がない場合があるからです。


fn do_something() -> i32 {
    10
}

fn main() {
    // 関数は値を返すが、セミコロンを付けることでその値を無視できる
    do_something(); 
    
    let x = 5;
    // x + 1 は式だが、セミコロンを付けることで計算結果を破棄し、単なる動作として終わらせる
    x + 1; 
    
    println!("プログラムは無事に終了しました");
}

このように、値を生成する能力があるコードであっても、その後にセミコロンを置くことで、その値を「捨て去る」ことができます。Rustのコンパイラは非常に優秀で、重要な値を誤って捨てている場合には「値が使われていません」という警告(unused result)を出してくれることもあります。セミコロンは、プログラマの意図をコンパイラに伝えるための、非常に繊細なツールなのです。

9. Rustの哲学とセミコロンの深い関係

9. Rustの哲学とセミコロンの深い関係
9. Rustの哲学とセミコロンの深い関係

最後に、なぜRustがこれほどまでにセミコロンと「文・式」の区別にこだわるのか、その背景にある哲学について考えてみましょう。Rustは「予測可能性」と「安全性」を重視する言語です。メモリ管理においても、所有権の仕組みを使って「いつ、誰がデータを破棄するか」を厳密に決めます。これと同じように、計算されたデータが「どこへ流れていくのか」を曖昧にしないために、セミコロンによる明確な区別を導入しています。

もしセミコロンの有無が適当であれば、プログラマは知らず知らずのうちに意図しない値を返してしまったり、逆に必要な値を捨ててしまったりする可能性があります。Rustの厳格な構文チェックは、一見すると初心者には厳しいハードルに見えますが、それは実行時の予期せぬエラー(ランタイムエラー)を極限まで減らすための、コンパイラからの「優しさ」なのです。コードを書く際、一文字のセミコロンに「これは値を次に渡すための式か、それともここで終わらせる文か」という意識を込めることで、あなたのRustスキルは飛躍的に向上するはずです。

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