カテゴリ: C++ 更新日: 2026/01/27

C++のポインタ(pointer)を完全攻略!初心者でも挫折しない基本と特徴

ポインタ (pointer) の基本と特徴
ポインタ (pointer) の基本と特徴

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、C++最大の難関と言われる『ポインタ』という言葉を聞きました。初心者には無理だって聞いたんですけど、本当ですか?」

先生

「そんなことはありませんよ。ポインタは、データの『場所』を記録するための道具です。仕組みさえ分かれば、これほど便利なものはありません。」

生徒

「データの場所、ですか。具体的にはどのように使うんですか?」

先生

「それでは、身近な例えを使いながら、ポインタの正体を一緒に解き明かしていきましょう!」

1. ポインタとは?「住所」を記録する変数

1. ポインタとは?「住所」を記録する変数
1. ポインタとは?「住所」を記録する変数

C++のポインタ(pointer)を一言で表すと、データの値そのものではなく、データが保存されているメモリ上の「住所(アドレス)」を記憶するための変数のことです。プログラミング未経験の方にとって、コンピューターの中にある「変数」はデータを保存する「箱」のようなものですが、ポインタはその箱の「中身」ではなく、「箱が置いてある場所」を指し示す役割を持ちます。

例えば、あなたが友人にプレゼントを渡したいとき、プレゼントそのものを持ち歩くのが「普通の変数」だとすれば、プレゼントが置いてあるコインロッカーの「番号」を書いたメモが「ポインタ」です。メモさえあれば、いつでもそのロッカーに行って中身を取り出したり、別のものに入れ替えたりできますよね。この「場所を指し示す」という感覚が、ポインタを理解する最大のヒントになります。

2. メモリアドレスの仕組みを理解しよう

2. メモリアドレスの仕組みを理解しよう
2. メモリアドレスの仕組みを理解しよう

パソコンを触ったことがない方にも分かりやすく説明すると、コンピューターの中にはメモリという巨大な「作業机」があります。この机には、1つ1つの引き出しに「0番地」「1番地」「2番地」…というように番号が振られています。これがメモリアドレス(住所)です。

私たちが int score = 100; とプログラムを書くと、コンピューターは空いている引き出し(例えば1000番地)を見つけて、そこに 100 という数値を入れます。ポインタは、この「1000番地」という情報を専門に扱う変数なのです。Google検索で「C++ ポインタ 仕組み」と調べる多くの人が最初につまずくのは、この「値」と「住所」の違いですが、整理して考えれば難しくありません。

3. ポインタ変数の宣言とアドレス演算子「&」

3. ポインタ変数の宣言とアドレス演算子「&」
3. ポインタ変数の宣言とアドレス演算子「&」

C++でポインタを使うには、専用の書き方があります。型名の後ろに *(アスタリスク)を付けることで、「これはポインタですよ」と宣言します。また、普通の変数から住所を抜き出すには &(アンパサンド/アドレス演算子)を使います。


#include <iostream>

int main() {
    int appleCount = 5;      // 普通の整数変数
    int* ptr = &appleCount; // appleCountの「住所」をptrに保存

    std::cout << "リンゴの数: " << appleCount << std::endl;
    std::cout << "リンゴの場所(住所): " << ptr << std::endl;

    return 0;
}

この int* は「整数の住所を入れるための箱」という意味です。実行すると、住所の部分には 0x7ffee... のような、普段見慣れない16進数の数字が表示されます。これが、コンピューターの中での具体的な「番地」なのです。

4. 間接参照演算子「*」で中身を操作する

4. 間接参照演算子「*」で中身を操作する
4. 間接参照演算子「*」で中身を操作する

ポインタに住所を保存したら、次は「その住所にある箱の中身」を読み取ったり書き換えたりしたくなります。その時に使うのが、またしても * です(宣言の時とは意味が違うので注意しましょう)。これを間接参照(デリファレンス)と呼びます。

ポインタ変数の前に * を付けると、「このポインタが指している住所へ行って、中身を操作しろ」という命令になります。これを使えば、元の変数名を直接使わなくても、中身を自由自在に変えることができます。


#include <iostream>

int main() {
    int money = 1000;
    int* walletPtr = &money; // お金の場所を記録

    // 住所を頼りに中身を書き換える
    *walletPtr = 5000; 

    std::cout << "現在の所持金: " << money << "円" << std::endl;

    return 0;
}

現在の所持金: 5000円

money という名前を使わずに、walletPtr 経由で金額が変わりましたね。これがポインタの力です。

5. ヌルポインタ(nullptr):どこも指していない安全な状態

5. ヌルポインタ(nullptr):どこも指していない安全な状態
5. ヌルポインタ(nullptr):どこも指していない安全な状態

ポインタを使う上で非常に恐ろしいのが、デタラメな住所を指してしまうことです。存在しないロッカーを開けようとすれば、プログラムは即座に壊れてしまいます。そこで登場するのがnullptr(ヌルポインタ)です。

nullptr は、「今はどこも指していませんよ」ということを明示するための特別な値です。パソコンに詳しくない方でも、「未記入の住所録」だと考えれば分かりやすいでしょう。ポインタを作ったけれど、まだ指す相手が決まっていない場合は、必ず nullptr で初期化するのがC++の鉄則です。これにより、誤って壊れた住所へアクセスするリスクを大幅に減らすことができます。

6. ポインタと参照の違いを整理しよう

6. ポインタと参照の違いを整理しよう
6. ポインタと参照の違いを整理しよう

前回の学習で登場した「参照(リファレンス)」と「ポインタ」は、どちらも他の変数を操作する道具ですが、決定的な違いがあります。初心者の方が混同しやすいので、表で整理しましょう。

特徴 参照 (reference) ポインタ (pointer)
書き換え 一度決めたら変えられない 後から別の住所を指せる
空の状態 作れない(必ず相手が必要) 作れる(nullptr)
安全性 高い(壊れにくい) 低い(慎重な操作が必要)

ポインタは自由度が高い分、取り扱いには注意が必要です。しかし、その自由度こそが、効率的なメモリ管理や複雑なデータ構造(リストや木構造など)を作る際に必要不可欠な要素となります。

7. なぜポインタが必要なのか?3つの大きなメリット

7. なぜポインタが必要なのか?3つの大きなメリット
7. なぜポインタが必要なのか?3つの大きなメリット

「普通の変数だけで十分じゃないか」と思うかもしれませんが、C++がこれほど長く愛され、高速だと言われる理由はポインタにあります。主なメリットは以下の3つです。

  • メモリの節約: 巨大な写真データなどをコピーして渡すと時間がかかりますが、ポインタで「場所」だけ教えれば、一瞬で共有できます。
  • データの共有: 複数のプログラム箇所から、同じ一つのデータを書き換えたい時に役立ちます。
  • 動的な管理: プログラムを動かしている最中に、必要な分だけメモリを確保して、不要になったら捨てる、といった柔軟な操作が可能です。

このように、ポインタは「コンピューターの性能を極限まで引き出す」ための魔法のステッキなのです。

8. ポインタを使う際の「やってはいけない」注意点

8. ポインタを使う際の「やってはいけない」注意点
8. ポインタを使う際の「やってはいけない」注意点

最後に、ポインタを扱う際に初心者が絶対に避けるべき2つの落とし穴を紹介します。これを守るだけで、あなたのプログラムの安全性は格段に向上します。

一つ目は、「未初期化のポインタを使わない」ことです。ポインタを作るときは必ず & で住所を入れるか、nullptr を入れてください。中身が空のポインタは、宇宙のどこかを指している時限爆弾のようなものです。

二つ目は、「型を合わせる」ことです。int(整数)の住所は int* に、double(小数)の住所は double* に入れなければなりません。異なる型の住所を入れようとすると、コンピューターが混乱して正確な中身を読み取れなくなります。C++は型に厳しい言語なので、このルールをしっかり守りましょう。


#include <iostream>

int main() {
    double pi = 3.14159;
    double* piPtr = π // 型を double* で合わせる

    if (piPtr != nullptr) { // 安全確認
        std::cout << "円周率の値: " << *piPtr << std::endl;
    }

    return 0;
}
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