C++とは?歴史と特徴|C++98からC++20までの進化を初心者にもわかりやすく解説!
生徒
「先生、C++ってよく聞きますけど、どんなプログラミング言語なんですか?」
先生
「C++は、パソコンのソフトやゲーム、AIの開発など、幅広く使われているプログラミング言語です。高速で動くことが特徴ですよ。」
生徒
「へぇ~!でも歴史が長いって聞いたことがあります。どうやって進化してきたんですか?」
先生
「いい質問ですね。それでは、C++の歴史と、C++98からC++20までの規格(きかく)進化を一緒に見ていきましょう。」
1. C++とは?
C++(シープラスプラス)は、1983年にビャーネ・ストラウストラップによって生み出されたプログラミング言語です。C言語を土台にしつつ、「高速に動作するプログラムを、より作りやすくする」という目的で設計されました。現在ではゲームからAI、ロボット、業務システムまで幅広く使われており、世界中のエンジニアに信頼されている言語です。
名前の「C++」は、C言語の処理を1つ進める演算子「++」から来ており、「Cの機能をさらに前進させた」という意味があります。言語としての歴史も長く、改良を繰り返しながら今も進化を続けています。
また、C++は初心者にとって少し難しいイメージがありますが、基本的な文法はシンプルで、まずは小さなプログラムから慣れていくことで、着実に理解を深めることができます。たとえば、画面に文字を出すだけなら次のような簡単なコードで実行できます。
#include <iostream>
int main() {
std::cout << "はじめてのC++プログラムです!" << std::endl;
return 0;
}
はじめてのC++プログラムです!
このような小さな成功体験を積み重ねることで、C++の魅力や奥深さが自然と理解できるようになります。動作が高速で、機械に近い処理も扱えるため、ゲーム開発やAI、ロボット制御のような“技術のコア”となる部分を作れるのもC++の大きな特徴です。
2. C++の歴史と進化
C++は登場以来40年以上にわたり、多くの開発者に使われ続けてきた言語です。その間、C++は実際の開発現場での課題や時代のニーズに合わせて改良され、より便利で安全に使えるよう成長してきました。「古い言語」というイメージを持たれがちですが、実際には毎回の規格更新で新しい書き方や機能が追加され、現代的なプログラミングにも対応できるよう進化しています。
大まかな流れとして、初期のC++98では基本的な文法や枠組みが整備され、その後の規格では使いやすさや安全性が強化され、さらに近年ではモダンな書き方や最新技術に対応するための大幅な刷新が行われています。進化の過程を知ることで、「なぜC++が今も多くの分野で使われているのか」が自然と理解できるはずです。
たとえば、古い書き方と新しい書き方の違いを見るだけでも、C++がどれほど進化してきたかが実感できます。
// 旧来のC++でよく見られた書き方
#include <iostream>
int main() {
int numbers[3] = {1, 2, 3};
for (int i = 0; i < 3; i++) {
std::cout << numbers[i] << " ";
}
return 0;
}
// モダンC++の書き方
#include <iostream>
#include <vector>
int main() {
std::vector<int> numbers = {1, 2, 3};
for (auto n : numbers) {
std::cout << n << " ";
}
return 0;
}
同じ「数字を表示する」処理でも、現代のC++ではより直感的で読みやすく書けるようになっています。このような改善が続いてきたことで、C++は古さを感じさせない、むしろ時代に合わせて進化する柔軟な言語として位置づけられているのです。
3. C++98(1998年)― 最初の国際規格
1998年に登場したC++98は、C++が初めて国際標準化されたバージョンです。それまではコンパイラごとに仕様の解釈や振る舞いが少しずつ異なることもあり、「ある環境では動くのに別の環境では動かない」といった問題が起きやすい状況でした。C++98によって共通のルールが定められたことで、世界中のプログラマーが同じ基準でC++プログラムを書けるようになり、本格的に普及が進みました。
主な特徴は以下の通りです。
- クラス(オブジェクト指向プログラミング)の正式採用
- テンプレート機能の導入(汎用的なコードを書くための仕組み)
- 標準ライブラリ(STL:Standard Template Library)の追加
特にSTLは、よく使うデータ構造やアルゴリズムを「部品」としてまとめたもので、C++98以降のプログラミングスタイルに大きな影響を与えました。たとえば、配列のように数字の一覧を扱う場合でも、C++98では次のようにSTLのstd::vectorを使って書くことができます。
#include <iostream>
#include <vector>
int main() {
std::vector<int> scores;
scores.push_back(80);
scores.push_back(92);
scores.push_back(75);
for (std::size_t i = 0; i < scores.size(); ++i) {
std::cout << "スコア: " << scores[i] << std::endl;
}
return 0;
}
配列の長さを自分で数えたり、メモリを意識して確保・解放したりしなくても、std::vectorが内部でよしなに扱ってくれます。初心者の方にとっても、「成績の一覧」「ゲームのスコア」「センサーの値」など、現実のデータをそのままリストとして表現しやすくなったと言えます。このように、C++98はC言語の延長ではなく、「道具が揃った本格的なC++」としての出発点になった重要な規格です。
4. C++03(2003年)― 安定化と細かな改良
C++03はC++98の小さな修正版です。大きな新機能はありませんが、バグ修正や動作の安定化が行われました。
当時はまだ、「手動でメモリを管理するのが当たり前」という時代で、初心者には少し難しい部分も多かったです。
5. C++11(2011年)― モダンC++の始まり
2011年のC++11では、大きな進化が起きました。今のC++の基礎となる機能がたくさん追加されています。
- auto キーワードで型を自動推論できるようになった
- range-based for文で、配列やリストを簡単にループ処理できるようになった
- ラムダ式(無名関数)が導入され、短い関数を簡単に書けるようになった
- スマートポインタ(
std::unique_ptr,std::shared_ptr)でメモリ管理が安全に - マルチスレッド対応(同時に複数の処理を実行できる)
これにより、C++はよりモダンで書きやすい言語に生まれ変わりました。
#include <iostream>
#include <vector>
int main() {
std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
for (auto n : numbers) {
std::cout << n << " ";
}
return 0;
}
1 2 3 4 5
6. C++14(2014年)― 使いやすさの向上
C++14はC++11の改良版です。より便利で書きやすくなりました。
- ラムダ式の改良(型推論ができるようになった)
- 数値リテラルの読みやすさ改善(例:
1'000'000のように書ける) - 標準ライブラリの最適化と高速化
実際のコードもより短く、読みやすくなったのが特徴です。
7. C++17(2017年)― 実用性とスピードアップ
C++17では、開発者の負担を減らすための便利な機能が多く追加されました。
- 構造化束縛(
auto [a, b] = ...;のように複数の変数を一度に受け取れる) - if初期化文(
if (auto x = func(); x > 0)のように書ける) - std::optional, std::variant, std::anyなどの追加
- より高速なコンパイルと実行
大規模開発やゲーム開発でも、C++17の恩恵はとても大きいです。
8. C++20(2020年)― 革命的な進化
C++20は、これまでで最も大きな進化を遂げたバージョンです。C++の新時代を切り開く機能が多数追加されました。
- Concepts(コンセプト):テンプレートの条件を明確にできる
- Rangesライブラリ:for文などをもっと直感的に使える
- Coroutine(コルーチン):非同期処理(待ち時間を減らす処理)が簡単に
- モジュール機能:コンパイル時間を大幅に短縮
このC++20以降、C++は「古い言語」ではなく「最新技術に対応する最先端の言語」として再び注目を集めています。
9. C++の進化がもたらしたもの
こうして見てみると、C++は20年以上にわたって、少しずつ進化してきたことがわかります。昔は難しかったC++も、今では初心者でも学びやすい言語に近づいています。
「C++は難しい」というイメージを持っている人もいますが、実際には基本をしっかり学べば、誰でも少しずつ理解できます。特にC++11以降は、書きやすさが大きく向上しているので、これから学び始める人にもおすすめです。
まとめ
C++は、1983年にC言語を発展させるかたちで生まれてから、長い年月の中で少しずつ改良され、現在ではC++98からC++20まで多くの国際規格を持つ大きな言語へと成長しました。この記事で見てきたように、C++の歴史は単なる年表ではなく、現場のプログラマーが抱えていた課題を一つずつ解決してきた物語でもあります。初期のC++98では、クラスやテンプレート、STLなどの基礎部分がかたちづくられ、オブジェクト指向プログラミングと汎用的なコレクション操作が可能になりました。次のC++03では仕様の安定化が図られ、実務で安心して使える言語としての土台が整えられました。こうした流れを知ることで、C++というプログラミング言語がなぜ世界中の開発現場で選ばれ続けているのかが、初心者にも少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
その後のC++11では「モダンC++」と呼ばれる大きな転機が訪れました。autoによる型推論、ラムダ式、範囲for文、スマートポインタ、マルチスレッドといった機能は、コードの書きやすさと安全性を大きく引き上げました。C++14はそのさらなる改良版として、細かな使い勝手や表現力を高め、C++17では構造化束縛やif文の初期化、optionalやvariantなどの便利なクラスが追加され、実務的なC++プログラミングがより分かりやすく、保守しやすくなりました。そしてC++20ではコンセプト、レンジ、コルーチン、モジュールといった大規模開発向けの仕組みが導入され、C++は最新のプログラミングスタイルにも対応した言語へと進化しました。これらのバージョンごとの特徴を意識して学ぶことで、ゲーム開発や組み込み開発、AIや高速数値計算など、さまざまな分野でC++をどのように活かせるかを具体的にイメージしやすくなります。
C++の歴史を知ることは、単に年号を覚えることではなく、「なぜこの機能が必要になったのか」「どの時代の書き方が推奨されるのか」を理解することにつながります。たとえば、昔ながらの生ポインタだけでメモリ管理を行う方法よりも、C++11以降で導入されたスマートポインタを使うほうが安全で保守しやすいことがわかりますし、C++17やC++20で追加された新しい構文を使うことで、コードの意図が読みやすくなり、チーム開発でもトラブルを減らすことができます。これからC++を学び始める初心者にとっては、最初から最新の書き方に慣れておくことで、現代的な開発現場にスムーズに適応しやすくなるでしょう。C++の歴史と進化を意識しながら学ぶことで、単なる文法の暗記ではなく、設計や性能、保守性まで見据えた実践的なプログラミング力を身につけることができます。
ここで、記事の内容を振り返りながら、C++のバージョンと特徴を一覧で確認できるサンプルプログラムを見てみましょう。クラスと標準ライブラリを組み合わせることで、C++98からC++20までの進化を簡単な一覧表示として表現しています。実際にコンパイルして実行することで、歴史と特徴をもう一度整理して頭に入れるきっかけになるはずです。
#include <iostream>
#include <vector>
#include <string>
class CppVersion {
public:
std::string name;
std::string year;
std::string feature;
CppVersion(const std::string& n,
const std::string& y,
const std::string& f)
: name(n), year(y), feature(f) {}
};
int main() {
std::vector<CppVersion> history = {
{"C++98", "1998年", "クラスとテンプレート、STLが本格的に整備された"},
{"C++03", "2003年", "仕様が安定し実務で使いやすい形に整えられた"},
{"C++11", "2011年", "autoやラムダ式、スマートポインタでモダンC++が始まった"},
{"C++14", "2014年", "C++11をより書きやすくする細かな改良が加えられた"},
{"C++17", "2017年", "構造化束縛やoptionalなどで実用性が大きく向上した"},
{"C++20", "2020年", "コンセプトやコルーチンにより新しい設計スタイルが可能になった"}
};
for (const auto& v : history) {
std::cout
<< v.name << "(" << v.year << "): "
<< v.feature << std::endl;
}
return 0;
}
このサンプルプログラムのように、C++の歴史と特徴をコードとしてまとめておくと、後から振り返るときにも役立ちます。配列やベクターを使ってバージョン情報を整理することで、C++がどのような問題を解決してきたのか、どの段階でどの機能が増えたのかを一覧で把握できます。さらに、実務でC++を使う場面では、「古い書き方」と「新しい書き方」が混在しているコードベースに出会うことも少なくありません。そのときに、C++98の書き方なのか、C++11以降の書き方なのかを見分けられると、リファクタリングや機能追加を行うときに判断がしやすくなります。ゲーム開発や業務システム開発、組み込み制御、金融システムなど、それぞれの分野のコードを読むときにも、どの時代のC++が使われているかを意識しながら読み解く力が重要です。
これからC++を学ぶ読者にとっては、「歴史」「特徴」「バージョンごとの違い」を知ったうえで、自分がどのレベルのコードを書きたいのかをイメージすることが大切です。基礎を固めたいときにはC++98からC++11あたりの機能を中心に学び、最新の開発スタイルに挑戦したいときにはC++17やC++20の構文にも触れていくとよいでしょう。C++は一度覚えた知識が無駄になりにくい言語であり、低レベル制御、高速な実行性能、オブジェクト指向、テンプレートメタプログラミングといった幅広い考え方が身につきます。長い歴史の中で磨かれてきたC++を学び続けることは、プログラミングそのものへの理解を深め、他の言語を学ぶときの強力な土台となります。
生徒
「こうして振り返ってみると、C++って1983年に生まれてからずっと進化し続けているんですね。昔のC++と今のC++って、かなり雰囲気が違うんだなと思いました。」
先生
「その気づきはとても大事ですね。C++98やC++03のころは、手動のメモリ管理や古い書き方が中心でしたが、C++11以降は自動で型を推論したり、ラムダ式やスマートポインタを使ったりと、ずいぶん書きやすくなりました。」
生徒
「C++11からC++20までの流れを見ると、便利な機能がどんどん増えて、初心者にも扱いやすい部分が増えているんだとわかりました。特に、autoや範囲for文は、自分でもすぐ使ってみたいと思いました。」
先生
「実際にコードを書きながら歴史を意識すると、なぜその構文が生まれたのかが見えてきますよ。ゲームエンジンやAI、ロボット制御など、C++が現場で使われている理由も納得しやすくなるはずです。」
生徒
「今までは『C++は難しい』というイメージだけが先に立っていましたけど、歴史や特徴を知ってから見ると、しっかり学べば長く使える頼もしい言語なんだと感じました。これからは、バージョンごとの違いも意識しながら勉強してみます。」
先生
「その意識があれば大丈夫です。まずは基本的な文法とクラス設計を身につけてから、少しずつC++11以降の機能やC++20の書き方にも挑戦していきましょう。歴史を理解しながら積み上げていけば、きっと自信を持ってC++でプログラムを書けるようになりますよ。」